言語戦略でブランディングを成功させるコピーライティングの技法
プロフィール
  1. 言語戦略研究所所長のプロフィール

齋 藤 匡 章

言語戦略研究所所長。言語心理学者。発声コンサルタント。認定ボイスインストラクター(ボイストレーナーの上級資格)。著述家。1970年生まれ。群馬県出身。新潟大学人文学部で言語学を専攻し、同大学院で心理学と言語学の境界にある心理言語学を研究。言葉と人間心理の関係を専門とする。

1996年、言葉を重視して人間心理を扱うカウンセラーとして都内で開業。3冊の著書では、主に心理学的な観点から人間関係を説いている。マスコミによる取材も多数に上り、特に雑誌によるインタビューを好む。

声の指導者(コレペティ)であり、バリトン歌手でもあるT先生に師事し、ベルカント唱法および戦略発声法を学ぶ。

現在、言語戦略研究所の所長として、ビジネスを成功させる発声法と言葉の活用法について幅広く指導している。言葉によるブランディングをメインテーマとする本の上梓に向けて執筆中。




――といった具合の堅いプロフィールを書こうと思ったのですが、お読みになってもおもしろくないでしょうから、タッチを変えます。

といっても、言葉に興味を持ち始めた小学生の頃の話から始めても、たまったもんじゃないですよね。

私にとっては、すごく重要な時期であり、大きな体験だったのですけれどね。

では、こんな話はいかがですか?

あなたのご商売に役立つかもしれませんから。




●「コトバで売れる」ことを確信した出来事


このサイトを訪れてくれたあなたに、おそらく最も興味を持っていただけそうなお話をしましょう。

「コトバで売れる」ことを確信した出来事です。

堅い調子のプロフィールなんかより、ずっとおもしろいと思いますよ。

ところで私は今、言葉を道具として戦略的に使う場合に、「コトバ」と片仮名で表記しています。

でもまあ、厳密に区別しきっているわけではありませんから、あまり気にしなくても結構です。

さて、「コトバによって、こんなに反応が違うんだ」と知った出来事を、3つ挙げます。




1.大学時代のアルバイト


大学時代、それはもう、さまざまなアルバイトをしました。

中でも一番しっくりきたのが、「家庭教師の派遣会社」での仕事でした。社名を言えば誰でも知っている「あたかも全国の国立大学に付属しているかのような会社」です。

初めのうちは家庭教師として生徒に教えていたのですが、いつしか内部のスタッフとして働かないかと誘われ、営業の担当となり、各家庭を回って契約を取ってくるというシビアな仕事を任されました。

営業の仕事の厳しさは、学生アルバイトだってプロだって同じです。経験者ならおわかりでしょうが、あらかじめアポイントは取ってあるとはいえ、契約書にサインしてもらうのは並大抵のことではありません。

まして、大学生の若造がのこのこ出かけていって、その場で5〜7万円という「契約金」を受け取ってくるのは、今思い出しても「よくやっていたな」と自分で感心するほど大変な仕事です。

ところがですよ。こればかりはちょっとした自慢なのですが、

「100件連続契約達成」

という、前人未踏の記録を打ち立てたのです。

どこの家に契約に言っても、百発百中。

「ありえない」ですよね、ふつう。

一件の契約も落とすことなく、着々と記録を重ね、100件という数字が見えてきた頃、事務所には「あと○件」という貼り紙が作られ、外から報告の電話を入れるたびに、事務所内で「おおーっ」と歓声が沸いていました。

この記録は、おそらく今でも破られていないでしょう。

支部長に食事に連れていかれ、「労をねぎらってくれるのか、ありがたい」と喜んでいたら、そうではなかったんです。

「なあ齋藤、どうやって契約を取ってくるのか、秘密を教えろよ。お前の成績、はっきり言って、奇跡だよ奇跡」

百戦錬磨の支部長が「奇跡」と呼ぶほどの成績だったわけです。

秘密というほどの秘密はありませんでした。私なりに工夫はしていましたが……。

しかし、その工夫こそが「売るコトバ」の発見につながるとは、当時は思ってもみませんでした。

私の工夫というのは、「説明の順序を入れ替えた」だけなんです。

契約マニュアルに書かれている方法をそのままやったら、相手(生徒とその親)の気分が「だんだんとダウンしていく」のは明らかでした。

伝えなければならない情報は、いずれにしても同じです。

ところが、コトバが相手に与える影響を考慮すれば、説明の順序を入れ替えることで、まるで映画『ロッキー』のように、劇的に盛り上がる終わり方ができるのです。

単なる契約シーンを、ドラマにできるのです。

コトバによる「意味の流れ」を意識しただけで、奇跡が起きたわけです。

当然のことながら、「マニュアルの改訂」を申しつけられました。




2.名刺の裏に印刷したコピー


続いて2つ目のエピソードです。

私が都内で開業したとき、初めて名刺というものを作りました。

いや、正確に言うと、家庭教師派遣会社の営業時代も名刺は持っていましたが、あくまでも会社に支給される名刺であって、自分で作ったものではありません。

初めて名刺を作ったとき、表はごくふつうの「肩書きと名前と連絡先」にするとして、裏をどうするか迷いました。

英語の表記にしたらカッコイイかなとも思いましたが、私には必要なさそうでした。

そこで、やはり言葉のプロとしては、なんらかの文章を印刷しようと考えました。

「こんな小さなスペースなんだから、とにかく目立つ言葉をシンプルにぶつけよう」と思い、「売れるコトバ」というコピーをどーんと極太の文字で印刷しました。

驚いたのは、その「反応のなさ」です。

意図的に無視されているかのような、そんなコピーなど目に入らなかったかのような反応でした。

本当に目に入っていなかったのかもしれません。

今度は、「名刺の裏なんか、まともに見る人なんていないんだ」とあきらめ、虫眼鏡を使わなければ見えないような字で、言葉に対する思い入れを語る文章を印刷しました。

意味内容を伝えたいなどという下心はありません。「文字がたくさんごちゃごちゃと印刷されている」のが、なんとなくデザイン的に気に入っただけでした。

ところが、驚きました。

反応率が、5倍以上に伸びたんです。

当時の私には、この反応率の違いの理由を説明することは、まだできませんでした。

その後、デザインをいじって、さらに反応率を高めることができました。

同じスペースを使って、費用もまったく変えずに、反応率を劇的に改善できると知った出来事でした。

最近は、デザインのプロである弟に名刺を作ってもらっているのですが、兄からのうるさい注文にもしっかり応じてくれて助かります。

それにしても、「限られたスペースで売る」という観点から新聞広告を見ていると、頭を抱えたくなるような広告がたくさんありますね。




3.クライアントの売上が急上昇


「ホームページを作ったんですけど、誰も来てくれないんですよ」

そんな悩みを頻繁に聞かされるようになったのは、今から5年ほど前のことです。

メルマガもまだごく一部の人しか発行していませんでしたし、ブログなんて私も聞いたことがありませんでした(まだ存在しなかったのかな)。

ホームページをビジネスに活用しようという動きが少しずつ見られ始めた頃の話です。

「誰も来てくれない」といっても、正確にはどんな状態なのかを聞いてみると、「問い合わせが来ないんですよ」という返事。

つまり、まるで「リアルの店舗にお客さんが来たとき」のように、「来れば何らかのアクションがあるはず」と思い込んでいるのです。

問い合わせのメールが来ないから、誰も来ていないんだ、と。

ご存じのように、アクセス数が1日に1000あっても、問い合わせのメールが来る保証はありません。

とりあえずアクセス解析を設置してみると、確かに来ていない。

聞いてみると、検索エンジンへの登録もしていないし、ほかのホームページとのリンクも貼っていない。

孤立したサイトに訪問者が来るはずはありませんよね。「船のない無人島」みたいなものですから。

そのあたりは早々に改善して、続いて、「コトバ」です。

この時点で、驚くべき発見をしました。

「ホームページに関する認識の間違い」です。

私が「アクセス数が1日に1000あっても、商品が売れる保証はどこにもないんですよ」と話すと、意外な顔をするんです。

「1日にお客が1000人来る喫茶店は、大成功じゃないですか」と。

だから「来てもらったら、もうこっちのもの」と思っていたんですね。

ホームページの内容を見直すこともせず、「あとは広告費を注ぎ込んで集客すればいい」と、危険な思い込みをしていたわけです。

そこで、わずかにコトバを入れ替え、配置を替え、色を変えると、3ヶ月後にはサイトからの売上が約7倍に伸びました。

広告費を2倍にすればいいわけではない。コトバを工夫するだけで、5倍も10倍も成果を上げることができる。

クライアントにそう知っていただけた出来事でした。




――と、このようにして、「タダで使えるコトバを、ビジネスで使わないなんて、お金をドブに捨てるよりもったいない」と確信するようになりました。

あなたのサイト、あなたのブログ、あなたの広告、大丈夫?




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『お金をかけずにウェブサイトで集客できた』(齋 藤 匡 章/著)

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